-この記事でわかること-
なぜにCRMが必要なのか?
導入で期待できる3つの具体的な効果
コスパ重視のCRMツール選びの判断基準
「無料」を含む価格帯別おすすめツール15選の使い分け方
FlexCRM vs Zoho CRM vs kintone – 人気3社の「実際の使用感」
製造業・小売業・IT業界での実際の導入事例
企業規模別「失敗しないツール選び」の実例
「顧客管理をエクセルでやってるけど、そろそろ限界かも…」「CRMツールって高そうだし、うちみたいな小さな会社に必要?」
・・そんな悩みを抱える中小企業の経営者・営業責任者の方へ。
実は今、月額数千円から始められる高機能CRMツールや、完全無料で使えるツールが数多く登場しています。
「大企業だけのもの」というCRMの常識は、もう古いのです。
この記事では、予算や規模に関係なく、あなたの会社にぴったりのCRMツールが見つかるよう、実際の導入事例や使用感を交えながら、厳選した15のツールを詳しく解説します。
CRMとは?その機能とメリット
CRMとは、「Customer Relationship Management(カスタマー リレーションシップ マネジメント)」の略。
日本語では「顧客関係管理」と訳されます。

顧客情報の一元管理を基盤として、顧客との良好な関係構築を支援する手法、または顧客情報を管理するためのソフトウェア(CRMツール)のことを指します。
顧客との関係性を深化させ、LTV(顧客生涯価値)の最大化を目指すための重要な経営戦略と言えるでしょう。
CRMの基礎知識
CRMは、顧客情報を一元的に管理し、顧客理解を深めることで、企業と顧客の関係構築を支援するシステムです。
顧客情報には、氏名、連絡先、購買履歴、問い合わせ履歴、Webサイト閲覧履歴など、多岐にわたるデータが含まれます。これらの情報を集約・分析することで、顧客一人ひとりのニーズや行動パターンを把握し、パーソナライズされた最適なコミュニケーションを実現することが可能になります。
CRMは単なる顧客管理システムではなく、マーケティング、営業、カスタマーサポートなど、顧客接点を持つあらゆる部門で活用される包括的なシステムです。部門間の情報共有を促進し、企業全体の顧客対応力の向上に貢献します。
近年では、SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)やMA(Marketing Automation:マーケティングオートメーション)といったシステムと連携することで、より高度な顧客関係管理を実現する動きが加速しています。
データドリブンな経営を実現し、競争優位性を高める上で、CRMは不可欠な存在となっています。
※データドリブンな経営とは、会社の意思決定を「データ」に基づいて行う経営手法のことです。つまり、直感や経験だけでなく、実際の数字や統計情報をもとに、どのような戦略を取るか、どこを改善するかを判断していきます。
CRM導入によるメリット
CRMツールを導入することで、企業はさまざまなメリットを享受できます。代表的なメリットは以下の通りです。
売上向上
CRMツールを活用することで、顧客のニーズに合わせた適切なアプローチが可能となり、成約率の向上に繋がります。
また、既存顧客へのクロスセル・アップセル施策も容易になり、顧客単価の向上も期待できます。
優良顧客の育成を通して、安定的な売上向上を実現できます。
顧客満足度向上
顧客一人ひとりのニーズや購買履歴を把握することで、パーソナライズされたサービス提供が可能になります。
顧客の期待を超えるきめ細やかな対応は、顧客ロイヤリティの向上に繋がり、結果として顧客満足度の向上に貢献します。
業務効率化
顧客情報や営業活動の履歴などを一元管理することで、情報を探す手間や入力の手間を削減できます。
また、ルーティンワークの自動化により、営業担当者はコア業務に集中できるようになり、生産性向上に繋がります。
メリット | 詳細 |
---|---|
売上向上 | 顧客ニーズに合わせたアプローチ、クロスセル・アップセル、優良顧客育成 |
顧客満足度向上 | パーソナライズされたサービス提供、顧客ロイヤリティ向上 |
業務効率化 | 情報の一元管理、作業の自動化、生産性向上 |
CRMツール選定のポイント
CRMツールは多種多様であり、自社に最適なツールを選ぶことは容易ではありません。
効果的にCRMツールを活用するためには、導入前に自社のニーズや課題を明確にし、以下の選定ポイントを踏まえることが重要です。
費用を比較する
CRMツールの費用は、初期費用と月額費用に分かれます。
初期費用には、導入支援やデータ移行などの費用が含まれる場合があります。月額費用は、ユーザー数や機能によって変動します。無料プランを提供しているツールもありますが、機能が制限されている場合が多いです。自社の予算に合わせて、適切な価格帯のツールを選びましょう。
また、費用面だけでなく、費用対効果も重要な選定基準となります。
導入コストに見合う効果が得られるか、長期的な視点で検討する必要があります。
例えば、顧客獲得コストの削減や売上向上への貢献度などを予測し、投資に見合うリターンが期待できるツールを選びましょう。
必要な機能を調べる
CRMツールには、顧客管理、営業支援、マーケティングオートメーションなど、様々な機能が搭載されています。
自社の業務に必要な機能が備わっているかを確認しましょう。
例えば、営業活動の効率化を図りたい場合は、SFA機能が充実しているツールが適しています。また、顧客との関係強化を重視する場合は、MA機能が充実しているツールがおすすめです。
代表的な機能は以下の通りです。
機能 | 説明 |
---|---|
顧客管理 | 顧客情報の一元管理、顧客セグメントの作成など |
営業支援(SFA) | 営業活動の進捗管理、商談管理、営業日報の作成など |
マーケティングオートメーション(MA) | メールマーケティング、Webサイトのアクセス解析、リードナーチャリングなど |
カスタマーサポート | 問い合わせ管理、FAQの作成、チャットボット連携など |
分析・レポート | 売上分析、顧客行動分析、キャンペーン効果測定など |
これらの機能以外にも、連携機能も重要です。
既存システムとの連携の可否、APIの有無などを確認し、スムーズなデータ連携が可能なツールを選びましょう。
例えば、会計ソフトやMAツールとの連携が可能であれば、業務効率化に大きく貢献します。
操作性を確かめる
CRMツールは、日常的に使用するツールであるため、操作性が重要です。
直感的に操作できるか、インターフェースは見やすいか、などを確認しましょう。無料トライアルやデモ版を利用して、実際に操作してみることをおすすめします。また、モバイルアプリの提供有無も、営業担当者などが外出先で利用する際に重要となるでしょう。
特に、ユーザーインターフェース(UI)とユーザーエクスペリエンス(UX)が優れているツールは、従業員の学習コストを削減し、スムーズな導入を促進します。
複雑な操作や分かりにくい画面構成は、従業員の負担を増やし、CRMツールの活用を阻害する要因となる可能性があります。
拡張性を把握する
将来的な事業拡大や顧客数の増加を見据えて、拡張性が高いツールを選ぶことも重要です。
ユーザー数の追加や機能の拡張が容易にできるかを確認しましょう。
クラウド型CRMは、柔軟な拡張性を持つため、変化の激しいビジネス環境に適しています。また、API連携によって他のシステムとの連携を強化できるかも重要なポイントです。
例えば、将来的にAI機能やBIツールとの連携を検討している場合は、API連携が可能なツールを選択することで、より高度なデータ分析や業務効率化を実現できます。
サポート体制が整っているか
CRMツール導入後、操作方法やトラブルシューティングなどでサポートが必要になる場合もあります。
充実したサポート体制が提供されているかを確認しましょう。電話サポート、メールサポート、FAQ、オンラインマニュアル、トレーニングなど、様々なサポート形態があります。自社に合ったサポート体制が提供されているツールを選びましょう。また、日本語でのサポート対応が可能かも重要なポイントです。
特に、初めてCRMツールを導入する企業は、導入支援や操作研修などのサポートが充実しているベンダーを選ぶことが重要です。
スムーズな導入と円滑な運用を実現するために、信頼できるサポート体制が不可欠です。
中小企業向けCRMツールおすすめランキング15選(無料あり・低価格)
数あるCRMツールの中から、中小企業のニーズに合った無料または低価格で利用できるおすすめのツールを厳選してご紹介します。顧客管理、営業支援、マーケティングオートメーションなど、ビジネスの成長を加速させるための強力なツールを見つけてください。
無料CRMツール
まずは、無料で利用できるCRMツールをご紹介します。
機能が制限されている場合もありますが、CRM導入の第一歩として、気軽に試してみる価値があります。
おすすめ無料CRMツール3選
ツール名 | 特徴 | おすすめポイント | 注意点 |
---|---|---|---|
Zoho CRM(フリープラン) | コンタクト管理、リード管理、商談管理など基本的な機能を無料で利用可能。最大3ユーザーまで。 | 無料でCRMの基本機能を試せるので、CRM導入の初期段階に最適。 | ユーザー数や機能に制限があるため、ビジネスの拡大に合わせて有料プランへの移行が必要になる場合も。 |
HubSpot CRM(フリープラン) | コンタクト管理、Eメールマーケティング、フォーム作成など、マーケティング機能も充実。無制限のユーザー数で利用可能。 | マーケティング機能も無料で利用できるため、リード獲得から顧客管理まで一元管理が可能。 | 高度な機能を利用するには有料プランへの加入が必要。 |
Google コンタクト | Googleアカウントがあれば誰でも無料で利用できるシンプルな連絡先管理ツール。他のGoogleサービスとの連携もスムーズ。 | 非常にシンプルなインターフェースで使いやすいため、手軽に顧客情報を管理したい場合に最適。 | CRMとしての機能は限定的。 |
低価格CRMツール
次に、月額数千円程度で利用できる、低価格ながらも高機能なCRMツールをご紹介します。
無料ツールでは物足りない場合や、より高度な機能を求める場合に検討してみましょう。
おすすめ低価格CRMツール12選
上記以外にも様々なCRMツールが存在します。自社のニーズや予算に合わせて最適なツールを選びましょう。無料トライアルやデモなどを活用して、実際に使い比べてみることをおすすめします。
CRMツール比較表
数あるCRMツールの中から、最適なツールを選ぶためには、各ツールの機能や価格を比較検討することが重要です。
以下の比較表を参考に、自社のニーズに合ったCRMツールを見つけてください。
ツール名 | 価格(月額) | 無料プラン | 機能 | おすすめポイント | 導入規模 |
---|---|---|---|---|---|
Zoho CRM | 1,800円~ | あり | 顧客管理、営業支援、マーケティングオートメーション、カスタマーサポート、分析レポート | 多機能でありながら低価格で利用できる、豊富な連携サービス | 中小企業~大企業 |
FlexCRM | 1,200円~ | なし 90日無料トライアル | 顧客管理、営業支援、SFA、マーケティングオートメーション | 柔軟なカスタマイズ性、高度な分析機能 | 個人から中堅企業~大企業 |
kintone | 1,800円~ | 30日間無料トライアル | 顧客管理、案件管理、タスク管理、プロジェクト管理、ワークフロー構築 | 直感的な操作性、ノーコードでアプリ開発が可能 | 中小企業~大企業 |
eセールスマネージャーRemix Cloud | 10,000円~ | なし | 顧客管理、営業支援、SFA、モバイルアプリ、名刺管理 | 営業支援に特化した機能が充実、外出先でも利用しやすいモバイルアプリ | 中小企業~大企業 |
NI Collabo 360 | 要問い合わせ | なし | 顧客管理、案件管理、グループウェア、ファイル共有、プロジェクト管理 | 社内コミュニケーションの活性化、情報共有の効率化 | 中小企業~大企業 |
HubSpot | 無料~ | あり | 顧客管理、営業支援、マーケティングオートメーション、カスタマーサポート、CMS | 無料プランで基本的な機能が利用可能、スケールアップに合わせてプラン変更が可能 | 中小企業~大企業 |
価格
CRMツールの価格は、機能や利用人数によって大きく異なります。
無料プランを提供しているツールもありますが、機能が制限されている場合があるので注意が必要です。
自社の予算に合わせて、最適な価格帯のツールを選びましょう。
機能
CRMツールには、顧客管理、営業支援、マーケティングオートメーションなど、様々な機能があります。
自社の業務内容に合わせて、必要な機能が搭載されているツールを選びましょう。
その他
上記以外にも、操作性、拡張性、サポート体制なども重要な選定ポイントとなります。無料トライアルなどを活用して、実際にツールを使ってみて、使いやすさやサポートの質を確認することをおすすめします。
無料CRMツールと低価格CRMツールの比較
無料CRMツール
無料CRMツールは、低コストでCRMを導入できるというメリットがあります。しかし、機能が限定的である場合が多く、将来的な拡張性も考慮する必要があるでしょう。
低価格CRMツール
低価格CRMツールは、比較的安価で、必要な機能が揃っている場合が多いです。無料ツールよりも高機能であることが多く、中小企業にとって導入しやすい選択肢となります。
比較表や各社の詳細情報を確認し、自社に最適なCRMツールを選定しましょう。
CRMツール各社の特徴
ここでは、主要なCRMツール各社の特徴を詳しく解説します。価格、機能、操作性、拡張性、サポート体制など、様々な観点から比較することで、自社に最適なCRMツールを見つけるための判断材料を提供します。
Zoho CRM
Zoho CRMは、中小企業から大企業まで幅広く利用されているクラウド型CRMです。

(出典:https://www.zoho.com/jp/crm/)
豊富な機能と高いカスタマイズ性を備えつつ、比較的低価格で利用できるのが魅力です。また、他のZohoサービスとの連携も容易で、業務全体の効率化に貢献します。
主な機能
- 営業プロセス管理
- 顧客データ管理
- マーケティングオートメーション
- レポート分析
- モバイルアプリ
価格
無料プランから用意されており、有料プランはユーザーあたり月額1,400円から。
メリット
- 豊富な機能と高いカスタマイズ性
- 比較的低価格
- Zohoサービスとの連携
デメリット
- 多機能であるがゆえに、使いこなすまでにある程度の学習コストが必要
- 日本語に対応していないメニューがある
- マニュアルやサポートが十分でないと感じるという声がある
FlexCRM
FlexCRMは、日本の企業向けに開発されたクラウド型CRMです。

日本の商習慣に合わせた機能が充実しており、直感的な操作で利用できるのが特徴です。
CRM機能、SFA機能に加え、マーケティングやグループウエア機能なども標準搭載でコスパが良く、中規模や個人の方も利用されています
主な機能
- 顧客管理
- 案件管理
- 活動履歴管理
- レポート分析
- CTI連携
価格
初期費用無料
月額費用は1ユーザーあたり1,200円から。
メリット
- 日本の商習慣に最適化
- 直感的な操作性
- 標準機能が充実、自社アプリ制作も可
1,200円という低価格にも関わらず、グループウェアやマーケティング機能も標準搭載
メール配信やフォーム作成はもちろん、自社アプリも簡単につくれます
デメリット
- 他サービスとの連携機能は限定的
kintone
kintoneは、サイボウズが提供するクラウド型の業務アプリ構築プラットフォームです。

(出典:https://kintone.cybozu.co.jp/)
CRMとしてだけでなく、様々な業務アプリを簡単に作成・カスタマイズできます。チームでの情報共有やコラボレーションを促進する機能も充実しています。
主な機能
- 顧客管理
- プロセス管理
- データ分析
- コミュニケーション機能
- モバイルアプリ
価格
1ユーザーあたり月額1,800円から。
メリット
- 柔軟なカスタマイズ性
- チームコラボレーションの促進
- TVCMなどで認知度が高い
デメリット
- CRM以外の機能も豊富であるため、CRMに特化した機能を求めるユーザーには不要な機能も多い
- 使いたい機能がオプションのものが多い
eセールスマネージャーRemix Cloud
eセールスマネージャーRemix Cloudは、国産のクラウド型SFA/CRMです。

営業支援に特化した機能が充実しており、営業活動の効率化に貢献します。名刺管理機能やメール連携機能も備えています。
主な機能
- 案件管理
- 顧客管理
- スケジュール管理
- 名刺管理
- メール連携
価格
11,000円から(スタンダードプラン)
メリット
- 営業支援に特化した機能
- 国産で安心して利用可能
デメリット
- オプション機能が豊富だが、割高に感じる
NI Collabo 360
NI Collabo 360は、顧客管理だけでなく、グループウェア機能やプロジェクト管理機能も備えた統合型クラウドサービスです。社内外のコミュニケーションを円滑にし、業務全体の効率化を支援します。

主な機能
- 顧客管理
- 案件管理
- プロジェクト管理
- グループウェア機能
価格
要問い合わせ。
メリット
- CRM以外の機能も豊富
- 社内外コミュニケーションの円滑化
デメリット
- 価格情報が公開されていない
- CRMというよりも高機能グループウェア寄り
HubSpot
HubSpotは、インバウンドマーケティングで有名な企業が提供するCRMです。マーケティングオートメーション機能が充実しており、リード獲得から顧客育成までを一元管理できます。無料プランも用意されています。
主な機能
- コンタクト管理
- マーケティングオートメーション
- 営業プロセス管理
- カスタマーサポート
- ウェブサイト分析
価格
無料プランあり。有料プランは月額54,000円から。
メリット
- 強力なマーケティングオートメーション機能
- 無料プランで基本機能を利用可能
デメリット
- 有料プランは比較的高価格
各社の価格や機能を比較検討し、自社に最適なCRMツールを選択しましょう。以下の表は、主要なCRMツールを比較したものです。
ツール名 | 価格(月額) | 主な機能 | 特徴 |
---|---|---|---|
Zoho CRM | 1,400円〜 | 営業プロセス管理、顧客データ管理、マーケティングオートメーション | 豊富な機能と高いカスタマイズ性 |
FlexCRM | 1,200円〜 | 顧客管理、案件管理、 活動履歴管理 | 必要な機能が揃っているオールインワン的存在 |
kintone | 1,800円〜 | 顧客管理、プロセス管理、データ分析、コミュニケーション機能 | 柔軟なカスタマイズ性とチームコラボレーション |
eセールスマネージャーRemix Cloud | 11,000円〜 | 案件管理、顧客管理、スケジュール管理、名刺管理 | 営業支援に特化 |
NI Collabo 360 | 要問い合わせ | 顧客管理、案件管理、プロジェクト管理、グループウェア機能 | CRM以外の機能も豊富 |
HubSpot | 6,000円〜 | コンタクト管理、マーケティングオートメーション、営業プロセス管理 | 強力なマーケティングオートメーション機能 |
上記以外にも、様々なCRMツールが存在します。無料トライアルなどを活用し、実際に使い勝手を試してみることをおすすめします。また、導入後の運用まで見据え、自社のニーズに最適なツールを選びましょう。
CRMツールの導入事例
CRMツールは様々な業種・規模の企業で導入されており、それぞれに異なる効果を発揮しています。ここでは、具体的な導入事例を通して、CRMツールがどのように活用されているのか、そしてどのような成果が得られているのかをご紹介します。
業種別導入事例
業種によって抱える課題や顧客との関係性は異なります。
そのため、CRMツールの活用方法も業種ごとに最適化していく必要があります。
製造業
株式会社A社(仮名)は、部品製造を主とする中堅企業です。
顧客からの問い合わせや受注管理、納期管理などをExcelや紙ベースで行っており、情報共有の遅延やミスが多く発生していました。そこでCRMツールを導入し、顧客情報の一元管理、問い合わせ履歴の共有、進捗状況の可視化を実現しました。その結果、顧客対応のスピードと精度が向上し、顧客満足度が向上しました。
また、営業担当者は顧客情報に基づいた提案を行うことができるようになり、受注率の向上にも繋がりました。
小売業
株式会社B社(仮名)は、複数の店舗を展開するアパレル企業です。
顧客の購買履歴や属性情報を活用したOne to Oneマーケティングの実現を目指し、CRMツールを導入しました。顧客の購買履歴や嗜好に基づいたキャンペーンメールの配信や、来店時の接客への活用により、顧客一人ひとりに最適なサービスを提供できるようになりました。 その結果、リピート率の向上と顧客単価の増加に成功しました。
IT業界
株式会社C社(仮名)は、ソフトウェア開発を行うIT企業です。」顧客からの問い合わせやバグ報告、要望などを効率的に管理するためにCRMツールを導入しました。問い合わせ内容の自動分類や担当者への自動割り当て、対応状況の可視化により、迅速かつ的確な顧客対応を実現しました。
また、顧客からのフィードバックを製品開発に活かすことで、顧客満足度の向上と製品の競争力強化に繋がりました。
規模別導入事例
企業規模によってもCRMツールの活用方法は異なります。
ここでは、従業員規模別に導入事例を見ていきましょう。
従業員数10名以下
株式会社D社(仮名)は、創業間もないスタートアップ企業です。
限られたリソースの中で効率的に顧客管理を行うため、無料プランで利用できるCRMツールを導入しました。
顧客情報の一元管理、タスク管理、メール配信などをCRMツールで行うことで、業務効率化と顧客対応のスピードアップを実現しました。
従業員数10~50名
株式会社E社(仮名)は、成長中のIT企業です。顧客数が増加するにつれて、顧客情報の管理が煩雑になってきたため、CRMツールを導入しました。
顧客情報のセグメント分けや営業活動の進捗管理、売上予測などをCRMツールで行うことで、データに基づいた営業戦略の立案と実行が可能になりました。
従業員数50名以上
株式会社F社(仮名)は、複数部署を抱える中堅企業です。
部門間の情報共有がスムーズに行われておらず、顧客対応の遅延やミスが発生していました。そこで、全社的にCRMツールを導入し、顧客情報の一元管理、部門間連携の強化、業務プロセスの標準化を実現しました。
その結果、顧客対応の質が向上し、顧客ロイヤルティの向上に繋がりました。
企業規模 | 業種 | 導入効果 |
---|---|---|
10名以下 | スタートアップ | 業務効率化、顧客対応スピードアップ |
10~50名 | IT企業 | データに基づいた営業戦略立案・実行 |
50名以上 | 中堅企業 | 顧客対応の質向上、顧客ロイヤルティ向上 |
中小企業 | 製造業 | 顧客満足度向上、受注率向上 |
中小企業 | 小売業 | リピート率向上、顧客単価増加 |
これらの事例はあくまでも一例です。CRMツールは、それぞれの企業の課題やニーズに合わせてカスタマイズすることで、最大限の効果を発揮します。自社の状況に最適なCRMツールを選び、効果的に活用していくことが重要です。
CRMツールに関するFAQ
この章では、CRMツールに関するよくある質問とその回答をまとめました。
CRM導入を検討する際によくある疑問を解消し、スムーズな導入をサポートします。
CRMツールは本当に効果があるのか?
CRMツールは、適切に活用すれば大きな効果を発揮します。
顧客データの一元管理による営業活動の効率化、顧客理解の深化による顧客満足度向上、データ分析に基づいた戦略立案による売上向上など、さまざまなメリットが期待できます。
ただし、導入するだけでは効果は得られません。社内での活用方法の明確化、運用ルールの策定、継続的なデータ更新など、適切な運用が不可欠です。
CRMツールの導入にかかる費用は?
CRMツールの導入費用は、ツールによって大きく異なります。
無料のものから、月額数万円、数十万円といった高額なものまで様々です。費用は、利用できる機能、ユーザー数、データ容量などによって変動します。
自社のニーズ、予算に合わせて最適なツールを選択することが重要です。主な価格帯は以下の通りです。
価格帯 | 概要 | 例 |
---|---|---|
無料 | 機能が限定的、ユーザー数やデータ容量に制限がある場合が多い | Zoho CRM(無料プラン)、HubSpot CRM(無料プラン) |
月額数百円~数千円 | 小規模企業向け、基本的な機能が利用可能 | kintone (ライトコース) FlexCRM |
月額数千円~数万円 | 中規模企業向け、高度な機能、カスタマイズ性が高い | FlexCRM、Salesforce Sales Cloud、eセールスマネージャーRemix Cloud |
月額数十万円~ | 大企業向け、多機能、大規模データ対応 | Oracle Siebel CRM、SAP CRM |
上記以外にも、初期設定費用、カスタマイズ費用、トレーニング費用などが発生する場合があります。
導入前に各社の料金体系を詳細に確認し、総費用を把握しておくことが大切です。
CRMツールの導入期間は?
CRMツールの導入期間は、ツールの種類、自社の規模、導入体制によって異なります。
クラウド型のツールであれば、数日から数週間で導入できる場合が多いですが、オンプレミス型の場合は数ヶ月かかることもあります。
また、既存システムとの連携、データ移行、社員研修なども考慮する必要があります。事前の計画をしっかりと立て、余裕を持ったスケジュールで導入を進めることが重要です。
CRMツールのデータ移行はどうすればいい?
CRMツールへのデータ移行は、CSVファイルを利用する方法が一般的です。
既存システムからデータをCSVファイルでエクスポートし、CRMツールにインポートします。ツールによっては、API連携によるデータ移行が可能な場合もあります。
また、データ移行前にデータのクレンジング(重複データの削除、不要データの整理など)を行うことで、データの精度を高めることができます。データ移行作業は、専門業者に依頼することも可能です。
CRMツールを選ぶ上での注意点
CRMツールを選ぶ際には、費用だけでなく、機能、操作性、拡張性、サポート体制なども考慮する必要があります。
無料ツールは機能が限定的である場合が多いので、自社のニーズを満たせるかどうかの確認が重要です。また、将来的な事業拡大を見据え、拡張性の高いツールを選ぶことも大切です。
さらに、サポート体制が充実しているかどうかも重要な選定ポイントとなります。何かトラブルが発生した場合に、迅速かつ適切なサポートを受けられるかを確認しましょう。
CRMツールとMAツールとの違い
CRMツールとMAツールはどちらも顧客情報を管理するツールですが、その目的が異なります
CRMツールは既存顧客との関係強化に重点を置き、MAツールは見込み客の獲得と育成に重点を置いています。
最近では、両方の機能を備えたツールも増えてきています。自社の目的に合ったツールを選択しましょう。
CRMツールとSFAツールとの違い
CRMツールとSFAツールも混同されがちですが、CRMは顧客関係管理全般を扱うのに対し、SFAは営業活動の支援に特化しています。
SFAはCRMの一部の機能と捉えることもできます。自社の営業プロセスを効率化したい場合は、SFAの機能が充実したCRMツールを選ぶと良いでしょう。
モバイルアプリは使える?
多くのCRMツールは、モバイルアプリを提供しています。
外出先でも顧客情報にアクセスしたり、営業活動の記録を入力したりすることができるので、営業担当者の業務効率化に役立ちます。モバイルアプリの使いやすさも、ツール選定の際に重要なポイントとなります。
まとめ
この記事では、中小企業におすすめのCRMツールを無料のものから低価格のものまで15選ご紹介しました。
CRMツールは顧客情報を一元管理し、売上向上、顧客満足度向上、業務効率化に貢献する強力なツールです。選定の際は、費用、機能、操作性、拡張性、サポート体制を考慮することが重要です。特に中小企業では、コストパフォーマンスの高さが重要になります。無料ツールでは機能が限定的である場合もありますが、HubSpot CRMのように無料で豊富な機能を利用できるものもあります。
低価格帯でも、Zoho CRMやkintone、FlexCRMなど、高機能なツールが数多く存在します。
ネットでの口コミや評判は一つの判断材料にはなります
しかしそれはあくまで「利用した企業」の主観にすぎません
企業ごと、部門ごとに「抱えている課題」の大きさも、深さも違います。
究極的には「実際に触ってみることでしか、解決できない」と思います。そのためにはトライアルなどを利用し、実際に操作性を確かめてみましょう。
業務アプリやCRMツールも「定着化」がカギです
素晴らしいツールでも、難しすぎた・面倒だったという理由で続かないケースは珍しくありません
「これなら使えそうだ、続けられそうだ」というものと出会う事がはじめの1歩です